ゴー宣DOJO

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高森明勅
2021.7.21 10:53皇統問題

皇位の安定継承を目指して、政治の動きの重要局面で討議する

10月10日、わが郷里の岡山県でゴー宣道場が開催される。
テーマは「女性天皇・女性宮家は不可能なのか?」。

冒頭、私が30分ほど基調講演を仰せつかっている。

ゲストには、『美智子さまという奇跡』の著者の
矢部万紀子氏をお招きする。
幻冬舎新書の同著を読んで、深く心を動かされた
(他に『雅子さまの笑顔』も印象に残る著書だ)。
私には無い視点と感性。
皇室関係の著書としては珍しく、多くの部分で共感できた。

なので、昨年の緊急シンポジウムを企画した時に、
真っ先に登壇者の候補に名前を挙げた。
幸い、倉持麟太郎弁護士を通して依頼したところ、直ちにご快諾戴いた。
当日は、期待に違(たが)わぬ発言をして下さった。
この時のシンポジウムは、政府の姑息で無理筋の「皇女プラン」を押し戻し、
当初は避けようとしていた有識者会議の設置へと、
局面を大きく転換させるキッカケになったと、自負している。

今回の道場も、新型コロナ禍の中、
わざわざ岡山までお越し下さることに、感謝申し上げる。

小泉内閣で頓挫して以来、長年、先延ばしされ続けて来た
「皇位の安定継承」への取り組みが、やっと動き始めたかと喜んでいたら、
又々風前の灯火。
やはり政府の一諮問機関に過ぎず、民主的な正統性を背負わない
有識者会議に、重大な決断を期待することは出来ない。

恐らく、目先だけの「皇族数の確保」策として、
“一代限りの女性宮家”で逃げ切りを図ろうとするはずだ。
最悪、政治的な配慮から、憲法が禁じる「門地による差別」に当たり、
“国民平等”の原則に違反する旧宮家案も、両論併記的に
答申に盛り込まれる可能性がある。

その後は、特例法の附帯決議にある通り、「立法府(国会)の総意」を
取りまとめる段階に移るはずだ。
上皇陛下のご譲位を可能にした特例法を準備した時のように、
衆参両院議長が中心になって、国会の全党全会派が一堂に会して、
それぞれ意見を出し合う場が設けられることになろう。
ここが正念場になる。

それが、どの時点になるか。
衆議院議員の任期が10月21日で満了になる。
だから、それまでに衆院選挙が行われるはずだ。
東京オリンピック・パラリンピックが9月5日まで。
一方、菅首相の自民党総裁任期が同月30日まで。

なので、政界関係者から話を聞くと、パラリンピック閉幕“後”、
総裁任期が切れる“前”に、早く衆院を解散して選挙戦に突入し、
今のところ10月10日辺りが投票日になる可能性が最も高いとか
(又は翌週の17日)。
もしその予想通りだと、道場開催日とドンピシャリ重なることになる。

そこまで重なるかはともかく、立法府の総意を取りまとめるのは、
当然、選挙後のはず。
だから、上記のスケジュールの見通しに大きな狂いが無ければ、
岡山道場の開催は恐らく、皇位の安定継承を巡る政治の場での、
最終決戦“直前”ギリギリのタイミングになりそうだ。
言うまでもなく、極めて重要な時期に当たる。

私自身も、立法府の総意取りまとめの時期を睨んで、
9月末に新著を出す予定にしている。
この問題に関心を寄せておられるベテランの国会議員は、有難いことに、
このような時機での拙著の刊行を、心強く受け止めてくれているようだ。
立法府の総意取りまとめがまともな形で決着するように、
心ある国会議員の皆さんに参考にして戴けると、嬉しい。

既に原稿を渡した担当の編集者からは、
「本格的な内容で盛りだくさんなのに、読みやすく面白い」と評価して貰った。
「これまでの本と違って」と言われたのは、褒められたのか貶されたのか、
いささか複雑な気分だが(岡山道場の会場では新著のサイン会も予定している)。

皇位の安定継承の為には、どうしても
①女性天皇
②女系天皇
③女性宮家
が“セット”で実現されねばならない。

政府も、それが「正解」だと、とっくに分かっているはずだ。
しかし、政治的な配慮で、又ぞろ先延ばしを図る可能性が高い。
今回は目先だけの「皇族数の確保」、次は…もしいつか機会があれば
「皇位の安定継承」と。“匍匐(ほふく)前進”方式だ。

だが果たして、「次の機会」を本当にアテに出来るのか? 

臆病な問題解決の先延ばしの繰り返しで、最も犠牲になられるのは、
他でもない当事者であられる皇室の方々ご自身だ。
その事実にどれだけの政治家が気付いているのか。
それとも、気付いていても勇気が無いのか。

政府・国会が勇気を持って正解の方策に踏み切れるように、
国民の力強い後押しが今こそ必要だ
(拙著もその後押しを引き出す為に他ならない)。

岡山での道場は、そのラストスパートへの跳躍台になるはずだし、
そのような道場にしなければならない。
志ある多くの方々の参加を呼び掛ける。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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